―――その日は快晴だった。

目に美しい空の下、肌を撫でるのは妙に生ぬるい風。
嫌な感覚が、身体を伝う。

それは自分たちを死へと誘おうとする『主』の心のように思えた。


客達は、ひとり、またひとりと大広間へとやってくる。

ここでこうして席に着くのは、もう7度目。

猫の悪戯を暴く裁判で、全員が揃っていたのはもう遥か昔のことのようだ。

外を渇望した少女が、少女の命を散らした。
幻惑に惑われた少年が、正義を絶やしてしまった。
病に侵された少年が、心を通わせた星達を手に架けた。
身を巣食う魔に踊らされた少年を救う為、手を伸ばした4人の客達が赤い花を咲かせた。
生きる活路を開く為に戦った少女が、少年を絶望の海から掬い上げた。

失われた命の数だけ、蝋燭の炎が絶やされた。

ほとんど光が失われた暗闇に、残された人数は6人。
この中に、全ての黒幕―――『主』がいる。

程度に差はあれど、誰もが強張らせた表情で互いを見やっていた。



>>>最終裁判



続>>>命の灯火

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