その日の朝は特に冷え込んだ。

宿の中はいつもほんのりと暖かかったが、部屋へは防寒具が一式、生存者達に合わせて宛がわれた。
一たび外へ踏み出せば、夏にやってきた客達の服装では寒さが染みる。

霜枯れ時の草木はかさりと乾いた声を響かせるものの、
血のように赫い彼岸花達は、その瑞々しさを失うことなく宿を囲っていた。


そんな昼の折、客達は女将の呼び出しのもと、墓前へと集まっていた。




>>>死者の回想 きゅうにんめ、じゅうにんめ…じゅういち、じゅうに、じゅうさん、



続>>>植物を愛した少女

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